• テキストサイズ

ENCORE

第10章 eraser




「…なんだ」


まいかの心が悲鳴を上げずに居られるのであれば、出来る限りはしてやりたい。そんな風に思うのは、情だろうか。

いや、きっと愛も混じってしまったのだろう。


「相澤先生、私を除籍してください」


雲ひとつない夜。なのに何故か雷が光った気がした。
瞬間、まいかの、俺が求めた笑顔がはっきりと見えた。



「良いのか?」


「沢山考えたんだよ。だけど今の私はヒーローになんてなれない」



背筋を伸ばし、真っ直ぐ見る瞳に、何故だろう。鼻の奥がツンとして、寒さで誤魔化し捕縛布をぐっと鼻先まで上げた。

そして静かに、まいかに除籍を言い渡した。


誰も知らない、誰も見ていない、二人だけの海。
静かに、静かに、終わりを告げた。


/ 156ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp