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ENCORE

第7章 Again


「ユキちゃ〜ん!こっち〜」
「お前はナナちゃん人形か…」

夜の繁華街。寮生活を送っていた頃じゃ想像も出来なかったネオンの光の間、背の高い奴が手を振り俺を呼ぶ。

「ユキちゃん、久しぶりだね」
「遅かったね、ユキ」
「おめーらが早ェんだよ」

懐かしい顔ぶればかりで、まるで昔に戻った気がしてならない。

「皆もう中にいるよ~」
「はぁ?まだ五分前だろ」
「まいかさんの隣、早く行かなきゃ座れないよ」

こんなに賑やかなのは何時ぶりだろうか。なんだか気恥しくて、思わず笑ってしまう。

「黒田おっせーよ」
「主役は遅れてなんとやら、かぁ?」

まだアルコールは入っていない筈なのに、雰囲気と言うのは少し怖い。皆が楽しげにワイワイと各自自由に盛り上がっている。

「ユキ、あっち。空いてる。座りなよ」

塔一郎の力の強さには敵わない。なんて思っている場合じゃない。俺と反対にいる同級生と話すその後ろ姿は紛れも無く、アイツだ。

「塔一郎っ…待て!まだっ…」
「まいかさん」
「馬鹿っ…………」

塔一郎の声に振り向いたアイツは、昔より少しだけ大人っぽくなっていた。俺を見て、丸い目をもう一回り丸くして、それから笑った。

「泉田くん!雪くん!久しぶりだね」
「久しぶり。ねぇ隣、空いてるかい?」
「空いてるよ」

二つ空いた座布団をポンポンと叩き今度は目を細めて笑う。
そうだ。俺はこのコロコロ変わる表情に心を奪われたんだっけか。

「ありがとう!僕は幹事だからあっちに座るんだけどユキの席無くてね…すまないけど一緒に座らせてあげてくれないかな?」

トン、と背中を押されてよろめいた。振り返り塔一郎を見れば声を出さずに口を動かした。


____ガンバレ

そうして久しぶりの同窓会が幕を開けたのだ。
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