第8章 【現パロシリーズ】にじり口【轟焦凍】
「口付さん、結婚してんのか?」
周りを囲んで行く手を阻む生徒の1人に問いかけると、一瞬だけムッとした表情をされた。
「ええ、新婚ホヤホヤですよ」
「でも、指輪してねぇよな」
空色の着物が消えた方向をみなが続けて聞くと、目の前に左手が差し出される。
「着物ですからね、みんな外したんですよ」
「そういうことか」
さっきまで、楽しげに話していたはずのそいつは、あからさまに機嫌が悪くなった
理由は分からねぇけど、俺と話してる女は時々、いきなりそういう顔になる。
「悪りぃ…俺、なんか変なこと聞いたか?」
そいつの顔を覗き込んでそう聞くと、「い、いえ!!!全然!!」と、今度はさっきより機嫌が良くなって笑った。よくわかんねぇ…
それにしても、と周りの喧騒の中、思考を内へと向ける。
(結婚してんのか…)
何度も話しかけようとしたのに、他の奴らが邪魔で話しかけれなかったしな…。
結婚してんのか…ともう一度心の中で思う。
(まぁ、関係ねぇよな)
「口付さん、子供いんのか?」と聞くと、目の前の女はまた機嫌をわるくした。