第8章 【現パロシリーズ】にじり口【轟焦凍】
授業が終わってすぐ、にじり口を抜けた庭先で私は疲れた足をこっそりと振った。
お上品ではない仕草なのは重々承知だけれど、誰も見ているはずはない。
お姉様方は轟先生の周りに集まって、色めきだっているのだから。
小さなカバンから取り出したスマートフォンが小さく揺れる。
『あの…私はここで』
とお姉様がたに声をかけると、「あら、旦那さん?」「お迎え?じゃあまたね口付さん」と手を振られた。
先生が何故か驚いた表情でこちらを見ているけれど、頭だけ下げて踏み石を通って門を出る。
街の喧騒と、旦那のプリウスに一気に日常に引き戻されて安堵した。
やっぱり慣れないことはしたくない
けれど、また二週間後にはレッスンだ。
そう思うと、気が重くて深くため息をついた。