第1章 【キスミー番外編】クリスマス【轟、爆豪】
『二人とも、どうしたの?』
少し寒いなぁ…コート着てくればよかった…とゆりなはぼんやりと思う。
寮のそばの噴水前で
二人が目の前に並ぶように立っていて
焦凍はそうでもないが、
勝己はとても機嫌が悪そうだ
「明日、クリスマスなんだろ?」
『あー、うん…そうだね
あしたはイブだけど』
イブ?と轟は首を傾げたが
そんな事に構ってられないと爆豪が口を開く
「明日予定あるんか」
『うん、明日明後日はお兄ちゃんと実家でクリスマスパーティなんだ』
お兄ちゃん、という単語に爆豪は眉をしかめた
轟も顔には出さないが
二人の頭の中には
「あはははははは!」と不穏な笑顔を向ける
金髪碧眼いけ好かない男の姿が浮かんでいる
ゆりなは、そう説明しながらもプルリと体を震わせた
2人はそれに気づき、まるで打ち合わせたかのように目を合わせると
紙袋の中からさっき見つけたマフラーを取り出して
2人でゆりなの首元にかけた
ゆりなはなにが起きたのか全くわからない様子で
首に巻かれた温もりに、そっと手を添える
『…これ………』
視線を落とすと、とても可愛いマフラーが首元に
二人に視線をもどすと
二人ともとても満足そうな顔をして
「やっぱり、似合うな」
「似合うに決まってんだろ
誰が選んだと思ってんだ」
なんて言っている
『え?まって…これって
もしかして、私に…?』
「クリスマスプレゼントだ」
『クリスマス…プレゼント…』
まさか二人から貰うと思っていなかったゆりなは
嬉しさで、マフラーに添えた手をギュッと握る
俯くゆりなに2人は一瞬不安になった…
何せ、人に贈り物をするのは2人ともこれが初めてなのだから
『どうしよう…
嬉しすぎる…
2人とも、ありがとう!』
マフラーから見えたのは
《喜び》を最高に分かりやすく表現したゆりなの笑顔で
二人はその笑顔に胸が苦しいほどキュンとしてしまう