第1章 【キスミー番外編】クリスマス【轟、爆豪】
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「ゆりな?いや、居ないけど?」
1-C寮の前で、さきにそう言われて
爆豪と轟は「「は?」」と間の抜けた声を出した
「2時間?3時間?くらい前に出て行ったよ…
ってか、お二人さんが一緒にいるの珍しいね」
「いろいろあってな」
轟が濁した言い方をすると
さきは「ふーん」と適当な相槌をうって
「どこにいるか聞こうか?」とスマホを開く
「頼む」
「はいよ、ちょい待ち」
なれた手つきでLINEを打つと
程なくして返事が返ってくる
「え?!」と大きな声を出すさき
「どうかしたんか」
と、爆豪が聞くと
「ゆりな…
1-Aの寮にいるって」
と、さきは驚いた顔のまま二人にいう
轟と爆豪は、同時に目を合わせ
踵を返し、走っていった
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「わぁ、ゆりなちゃん、やっぱ上手いなぁ」
『砂藤くんの教え方が上手いからだよ』
嬉しそうにそう返事するゆりな
手にはホイップの入った絞り機が握られている
爆豪、轟、緑谷の三人が出て行く少し前に、
麗日がゆりなを、このデコレーション会に誘って居たのだ
ゆりなはもともと手先の器用な方で
砂藤の手ほどきもあり、綺麗にホイップデコレーションをしていく
その様子を麗日は、イチゴを切りながら感心したように見つめた
「爆豪ちゃんたちも参加すればよかったのに」
蛙吹が顔には出さないが残念そうに呟くと
他のクラスメイト達も頷く
今まさに、最後のケーキが完成しようとしていた時だった
「「ゆりな!」」
と不参加だった2人が息を切らして寮に入ってくる
『勝己?焦凍?』
そして少し遅れて緑谷が入ってきた
「デクくん!どこいってたん?」
麗日にそう聞かれて、緑谷は「いやぁ…ちょっと…」と返事を濁して、苦笑いをする
「ちょっと顔かせ」
「来てくれるか?」
二人に呼ばれ、ゆりなは少し首をかしげたが
蛙吹がゆりなの手元からホイップを取ると
「後はやっておくから、行ってあげて」
ケロケロと笑った
『あ、うん…ありがとう』
手を拭いてから、2人の元に向かうゆりな
そのまま寮から出て行く三人を
皆遠巻きに眺めた