第1章 【キスミー番外編】クリスマス【轟、爆豪】
「二人とも…落ち着いて…」
どうにか声をかけると
爆豪にギロリと睨まれる
「てめぇは黙ってろ、クソチェリーが」
「チェ…!!!」
その罵りに、轟は少し気の毒そうな顔をして
「そうなのか、緑谷」
と聞いてきた
「ひどいよ!それは流石に傷つくよ!
ナードでいいじゃないか」
顔を真っ赤にして言うと、「ケッ」と舌打ちをされる。
「大丈夫だ、俺も最近まで経験なかったぞ」
そうフォローになってないフォローを轟が口にするが
「いや、フォローになってない上に
何でちょっとドヤ顔なの…」
「とにかく、これは俺んだ」
「いや、悪いが譲れねえ」
これでは埒が明かないと、緑谷は肩を落としてため息を吐く
それより、また止めに入って傷口を抉られるのは勘弁願いたかった
「なら、二人で買ったら?」
「あ゛?!」
「……」
「だって、それ僕が見ても口付さんに似合いそうだし…
それに、二つ同じものを上げるわけにもいかないよね
なら…もう二人であげたらいいんじゃないかなって…」
とんでも、な提案をしているのは重々承知だったが
二人は暫し睨み合ったあと
何も言葉を交わさぬまま
マフラーを手にレジに向かった。
「え?……ほんとに二人で買うんだ」
その様子を遠目に、緑谷は苦笑いをして思う
あの3人の恋愛も
こんなふうに上手く行けばいいけれど
そうはいかないから皮肉だ…と