第5章 【現パロシリーズ】cup of tea【物間寧人】
閉まるドアの音がやけに大きく響く。
耳元に寄せられた口元が、誰もいないのにナイショ話をするみたいに囁いた。
「ボールペン、どこに置いてる?」
『…ドレッサーの中よ』
「ドレッサーはどこにあるの?」
『……寝室』
まるで私が誘っているような言葉になって
ぱっと顔を背けた
彼はきっと余裕の笑みを讃えているのだろう
物間くんは、しゃがんでパンプスを脱がせてくれる
小さく灯った玄関のランプに映るその姿は
本当に王子様みたいだけれど
私は決してお姫様なんかじゃないし
物間くんだって、王子様じゃない
私は不倫女で、彼は間男
そんな現実をわからないわけじゃない
ただ、現実から目を背けるのがうまいだけ
ドレッサーのある部屋に向かうと
引き出しを引く前に
ベッドに押し倒された。
ふわりと香るのは、しーくんの香り
なのに、目の前にいるのは
私の心臓を跳ね上げさせるためだけに、こんな見た目をしているのかと思わされるような男。
口付けをしながら脱がせ合い
乱暴に体を離れた服がベッドの下にバサバサと二人分落ちる
『んっぁあ♡』
反り返る背に当てられた指は、体の線の細さに大して
割としっかりと男らしい。
綺麗な唇に吸われた先端は、触れられただけでビリビリしてしまうほど立ち上がっている。
「ゆりなさん…すごく濡れてる…」
下着を脱がすことなく、横にズラして
指が入ってくる
対面で座って抱き合いながら
物間くんのあぐらの上で好き放題弄られる体
『はぁっ…や…物間…くん』
かれの髪の毛が指の間でグシャッとなる
首元から香るこの香水は何の匂いなんだろう。
私の愛液が、夫婦のベッドを汚した
でもそんなことも気にならないほど
私は今目の前の彼だけを求めている。