第1章 【キスミー番外編】クリスマス【轟、爆豪】
〜爆豪side〜
「………」
ゆりなに似合いそうなマフラーを見つけて
手を伸ばすと、同時に取ろうとした奴がいて
目があった
なんでこいつが此処にいるんだっていう疑問が
まず頭に浮かんでくる
こんな女々しい店内に、なに一人で入って来とんだ
それはお前もだ、とツッコむものも脳内には居ない…
暫し、3分ほど
思考は停止したまま、ただ轟と見つめ合う形となった爆豪であったが
緑谷の声に、金縛りも解ける
「…!?かっちゃん!?」
「っあ゛!?んでお前まで!クソデク」
この現場を見られた恥ずかしさで
爆豪の顔はみるみる赤くなり目は釣り上がる
「いや、轟くんの付き添いで…」
「ゆりなのプレゼントを選びに
付いてきてもらった」
端的に説明する轟を爆豪が睨む
「轟くん、いいのあった?」
「あ?あぁ…コレがいいかと思っていた」
コレ、と指さしたのは
爆豪も手を伸ばしていたベージュチェックのマフラーで
「おい、見つけたんは俺が先だろうが」
「やっぱり爆豪も、コレがゆりなに似合うと思ったか?」
「思いまくるわ、クソが」
「え!?ってことは
買おうと思ってるものが被っちゃったってこと?!」
「そういうことになる…な」
轟は少し顔を顰めて爆豪を見る
「他の選べ、これは俺が買う」
「爆豪が他のを選べば良いだろ」
「んだと、殺すぞ」
二人のあいだに不穏な空気が漂い始めたのを感じた緑谷は、アワアワと肩を震わせた