• テキストサイズ

【雑多作品置き場】short story

第5章 【現パロシリーズ】cup of tea【物間寧人】



ゆりなは出来るだけ心の中を悟られないように、笑顔を作ったまま品を進める。




『お肌の色は白くていらっしゃいますか?
でしたらこのようなお色が人気でして…』




色を見せるために私の手の甲に塗ってみせると、物間くんの細い指先が、口紅を塗ったところのそばを撫でた。
初めて触れ合う肌にビクッと体が震える。


一瞬だけだったのに、何か、電気のようなものが体を走った気がした







「ちょうど…これくらいです」

若い男の指先が
手の甲を這う

それだけで、体の芯が熱くなっていくのを感じた






この指で愛される女はどんな顔をしているのだろう
羨ましさと、嫉妬が混じった感情が生まれて

自分のことが怖くなった。




私は、パッと手を離し、俯く。
悟られないように…



想いを沈めたところで、彼女の肌の色に合いそうな口紅を二、三本目おすすめする。




物間くんは
一本一本私の手の甲に塗って色を確かめた後、そのうちの一本を買っていった。




きっとその口紅を塗った唇で愛を囁き
キスをして、彼に愛され喘ぐんだろう。




また心に生まれた、黒いモヤに制服の胸元を掴んだ


掴んだ右手には、彼が買っていった口紅の色が赤く塗り込まれていた。






/ 261ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp