第5章 【現パロシリーズ】cup of tea【物間寧人】
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連れてこられたカフェは、シックなパティスリーが並列した店内で
平日の夕方、店内は程よく空いていた。
席に座ると、メニューと水が運ばれてくる。
向かい合ってみて、再度気付かされたのだが、この人はやっぱり私のタイプそのままで、見れば見るほど、非の付けようがない。
メニューを見るふりをしながらチラチラ盗み見ていると、「決まった?」と聞かれる。
突然のフランクな口調に、ドキッとしたけれど、『フォレノワールと、ディンブラにしようかな…』と呟けば
「いいチョイスだね」
と笑いかけてくれた。
その後は、話していくうちに、彼が大学生だと分かり
軽くショックを受けてしまう。
年齢差はやっぱり、5歳ほどあって
でも、彼女は居ないって言われた時には、全く関係ないはずなのに嬉しく感じてしまった。
「ところで、手袋外さないの?」
そう言われて手元を見れば、確かに
付けたっぱなしでケーキを食べるわけにはいかない。
手袋に手をかけた時、硬いものが指に当たった。
私はその時、本当に『どうかして』いたんだと思う。
外そうとした時に触れた結婚指輪を
手袋といっしょに抜き取って
手袋の中に隠した