第1章 【キスミー番外編】クリスマス【轟、爆豪】
〜轟Side〜
「…クリスマスケーキ?」
轟は目の前にいる緑谷出久にむかって首を傾げた
「なんだそれ」
「え?!クリスマスのケーキだよ」
「悪ぃ、俺ん家仏教だから、クリスマスはお母さんが居た頃にしかやってねぇ」
「えぇ、うちも仏教だけど…
じゃあクリスマスプレゼントとかも?」
「プレゼント…」
「ごめん…もう何も聞かないよ…」
緑谷は、うっ!と口元を抑えて目に涙を貯め
轟から目をそらす
改めてエンデヴァーに若干の失望を感じた緑谷の肩を
轟が掴んだ
「クリスマスはプレゼントを渡すもんなのか?」
「あー…うん、そういう人も多いかな
子供とか、恋人とか、友達とか」
「恋人…」
また若干轟の表情が曇り、緑谷は自分が地雷の上でジャンプしてしまったことに気づいた
「や!でも、誰にあげてもいいんだよ!」
手をブンブン振り回してフォローを入れると
轟は「そうなのか?」と少し元気になった様子
「ゆりなに、あげてもいいのか?」
「いいと…思うよ
喜ぶと思う」
その言葉は本心だった
口付さんなら、轟くんからプレゼントをもらったら
きっとどんなものでも喜んでくれるだろう
「そうか…」
そう呟くと、轟くんは
「でも、何買ったらいいかわかんねぇ…
教えてくれねぇか?」
と僕の方を見る
「え?!ぼ、僕!?
いや、無理だよ!彼女とかいた事ないし、
それどころか女の子とだたってあんまり話したことないし」
断ると、「そうか…」と言ってまた表情を暗くしてしまった
「けど…ついて行くくらいなら…」
クリスマスケーキも知らない轟を一人にするのは不憫過ぎるし
店員に乗せられて婚約指輪とか買いそうだと思った緑谷は、
自室からコートを手に
轟と寮を後にした