第1章 【キスミー番外編】クリスマス【轟、爆豪】
〜爆豪Side〜
アホ顔に言われるまで
明日がクリスマスだと言う事に気づかなかった
「チッ…ずっと寮暮しだと季節感わかんねぇ」
登下校があれば、街のイルミネーションや
電車の広告で気付くものの
まして、彼女のいた事のない彼からすれば
今まで大して縁のなかったイベントだ
そんな男も、今年はプレゼントの一つや二つ送りたいと思っている女がいる
雄英高校から、徒歩20分ほどにあるショッピング街に着くと
若い女性物の並ぶゾーンに向かった
周りにはカップルや親子連れもいるが
友達同士も、皆暖を取り合うように寄り添い
モールの中央広場には大きなもみの木が
きらびやかに装飾されて輝いていた
「………」
そんな穏やかな雰囲気の中で、
決して穏やかではない視線をショーウインドーに向ける男性客。
店員は声をかけようか一瞬怯む
が、すぐに目を逸らしたため
ほっと胸をなでおろした。
(流石にネックレスとか指輪は重めぇよな)
女にプレゼントなんぞ、贈ったことがない
参考になるのは、父親が母親に毎年送っている物くらいで
去年は確か、ネックレスだったと思う
が、そんな休みの日しか付けれないものより
もっと、気軽に使えるものを探していた
もちろん、恋人同士であれば、選択肢も変わるのだが
爆豪とゆりなは、なんとも表現のしづらい関係性にある
「…っさみ」
冷たい風に、粉雪が舞った
あいつと出会った時には、桜が舞っていたというのに
これだけの月日が経っていても
未だ変わることのない…
むしろ、さらに熱を増すその想い
目を瞑れば容易に思い出せる笑顔に似合う何かがないかと
首を回した