第25章 So Cute!【物間寧人の場合】
かわいすぎるあの子は、A組。
その事実が、僕をさらた苛立たせた。
「なんであの子B組じゃないの!?!?」
「物間…うるさい!」
B組の観覧席で叫ぶと、拳藤にたしなめられる。
今まさにスタジアムの中心で着々と勝ち進んでいるゆりなは、なるほど、遠くから見ても可愛い。
「なんでいっつもA組ばっかり…」
「まあ、確かにな」
「でも、まさか物間にまで「かわいい」って言わせるなんて…」
「そうそう、捻くれ者の物間にな」
みんなが口々にそういうから、僕は睨み返しながら口を開いた。
「べつに!かわいいとしか、思ってないし。
あんなの、ただかわいいだけだろ。
かわいいことには違いないけど、それだけだろ!」
「なら、物間はあの子が転けてたら?」
「助ける」
「泣いてたら?」
「飴あげて、励まして、泣かしたやつを殺しに行く」
「A組を好きになってっていわれたら?」
「は?なるに決まってるじゃん」
そこまで言い終わって物間は膝と手を付き、項垂れた。
「物間が骨抜きって、チート個性すぎだろ」
「さすが、ヴィラン連合お墨付き…。」
「くそ…かわいすぎる」
物間はよろよろ立ち上がって、フィールドを見下ろした。