第25章 So Cute!【物間寧人の場合】
「日焼けしないか心配」
「親かよ」
鉄哲にツっこまれたけど、本当に心配だ。
「熱中症になったらどうしよう」
「いや、だから親かよ」
「いやーでもまさか、物間がここまで可愛いものに弱いとはね」
「いっつも人のことひねくれた見方しかしてないから、
純粋に可愛いとか思ったの初めてなんじゃない?」
「なーる」
それほどまで、他者から見ても、物間のゆりなへの入れ込みは激しく。
その後も、ゆりなの試合のごとに、物間は身を乗り出し鑑賞した。
三試合目に突入した途端、物間の顔色が曇り、
うつむき口元を抑える。
「物間?!大丈夫か?」
「吐きそう?気持ち悪りぃのか?」
「いや…尊みがやばくて…
ゆりなが可愛くて空気が美味い…。
推しピちゃんスーパーキュートで最高」
最早いつもの語彙力をすべて失った物間は、口元にハンカチを当てたまま席に座りなおした。
「まー、気持ちはわかるけどな
ゆりなちゃんかわいいし」
そこまで言ったところで、物間は手の平を鉄哲に向けて顔をしかめる。
「あ、ごめん。
僕同担拒否だから
僕の前でゆりながかわいいとか言うのやめて」
「…お前、色々めんどくせぇな」