第20章 So Cute!【相澤消太の場合】
うわぁ…どうしよう…、とゆりなは肩を下げる。
私ほとんど無個性なのに、いきなり個性把握.しかも運動系…
渡されたボールを手に、思いっきり振りかぶって投げるけれど、記録は3メートル
さっきの人が、700オーバーだったのに…
このままじゃ絶対除名処分だ
そう思って泣きそうになっていたら、女の子が手を上げて「先生!」と言った。
「今の、たぶん調子が悪かっただけなんです!もう一度チャンスをあげてください!」
ショートカットの女の子がそう言うと、先生もうなづいて、私にもう一度チャンスが回ってきた。
『あ、ありがとう…!』
その子がボールを3メートル先から拾って渡してくれる
「ええの、ええの!がんばってね!」
少し訛った話し方の彼女は、ボールを私の手に乗せてくれた。
なんだか、心が軽くなったせいか、ボールまで軽く感じる。