第20章 So Cute!【相澤消太の場合】
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「ラッキーだな…」
思わず、声にならない声を漏らしたのは、初めて教室に入った瞬間だ。
教室の入口で、男子生徒と女子生徒が友達ごっこを始めているのを諌めた後、
教室に入った瞬間
その少女に目を奪われた。
(かわいい)
なるほど納得のかわいさに心の中でもう一度、かわいい、と繰り返して教壇に立つ。
「今日からおまえらの担任になった相澤だ。
よろしくね」
よろしくね、と言いながらその視線は一点に注がれている。
無論、
口付ゆりなのところにだ。
自己紹介もなにもかも割愛して、個性把握テストのために、皆を校庭に出す。
個性を表立って使える機会に、テンションが上がった生徒たちを、軽く脅しておく。
「最下位のやつは除名処分だ。」
そういった後にハッとする、
もし、口付が最下位だったら…と。
(その時は、取り下げりゃいいか…)
心の中で教師失格のことを呟いて、テストを見守った。