第17章 【夜シリーズ】イロコイ2【爆豪勝己】
結局押し付けられた見合い写真を
私は机の上に投げ置くと
ぼすん、とベッドに飛び乗って枕に顔を埋めた
ひとしきり布団をボスボス叩いた後、起き上がってメイクを始めた。
嫌なことがあれば、ホストクラブに行って癒して貰えば良い
勝己に会えば嫌なことなんて吹き飛ぶ…
のろのろと立ち上がり、机の上に候補の服を投げおいた。
ワンピースがぶつかって、見合い相手の写真が1枚床に落ちる
『あ…』
拾い上げて机の上に置いた瞬間
ある、ことを思いついた。
ーーーお見合いの事、勝己に言ったらどうなるだろう。
想像しただけで、心臓は跳ね上がり
ドクンドクン…と音を立てる。
気になりだしたら、試さずにいられない
いてもたってもいられなくなって、服を直ぐさに着替えると、バッグをひっつかんで階段を駆け下りた。
ヒールに足を通して、退屈な家を飛び出し
会いに行く
ネオンの灯る、この場所へと
他の男には見向きもせずに、
地下深く伸びる階段を駆け下りて、扉を開けた先の異世界。
入口に飾られる、2番目に大きな写真と同じ顔で
私を睨んでくる男。
爆豪勝己は、私の話を聞き終えると
肩に回していた手を離した
「で?」
『…え』
「それ言って俺にどうしろってんだ
見合いします?もし結婚が決まったらもうここには来れない?
で?」
あまりに冷たい物言いに、私は唖然としてしまった
確かに本当に愛されてるなんて微塵も期待してないし思ってもいない
けれども、ホストを仕事としている男が、客にこんなひどいことを言っていいのだろうか?
私は罵って欲しくてここに来ている。
でもそれは、愛があるが上の乱暴な言葉遣いだ。
まるで興味が無いと言いたげなこの視線は、いくら私でも悲しくなる。
指先が震えて、上手く言葉が出ない。
失敗だ
何を期待していたんだろう。
たかがホストに、
金で買うだけの愛と、金で売るだけの愛に
期待をしていたと言うのだろうか