第17章 【夜シリーズ】イロコイ2【爆豪勝己】
お金を払えば、いくらでもチヤホヤしてもらえるこの場所で、私が望んでいるものはそんな陳腐なものでは無い…
私に最上の喜びを与えてくれるのは……
「オイ、他の男と喋ってんじゃねぇよ、ブス」
あぁ…なんて酷い物言いなんだろう。
うっとりと、私の主(あるじ)に視線を向ける。
ホストって、英語で「主人」って意味だったと思う…。
ならば、正しくこの人が、私の「ご主人様」…主(あるじ)だ。
『勝己…』
真っ黒なスーツに、深いオレンジのワイシャツ、胸元のボタンは二個はだけて、白い肌が見えている。
長い首に、斜に構えた顎。
紅い瞳が、侮蔑をたたえて私を見下している。
金髪の髪の毛はつんつんとしていて、かきあげられた前髪が少し乱れて色っぽい。
ヘルプが逃げた席にドカッと座る
隣で、背もたれに背中もつけずに行儀よく座っていたら、グイッと腕を引かれて肩を抱かれた。
それだけで、胸は飛び出しそうなほど高鳴ってしまう。
「ボトル、入れんだろ?」
『あ、うん!
えっと…じゃあトラ…』
「あ?」
トラディション(120万)を入れようとしたら、勝己が機嫌悪そうに私を睨んだ。
『…じゃなくて…えっと…リシャール、にしようかな』
リシャール(280万)を注文すると、勝己はやっと不機嫌を直してくれた。