第16章 【夜シリーズ】イロコイ【上鳴電気】
電気は私のことが好きだから…私に風俗して欲しくないって思ってくれてる…
でも私達にはお金がいる。
(本番がないお店もあるって…聞いたことあるな…)
私はぐっと生唾を飲み込んで、覚悟を決める。
『電気、やっぱ私明日も来るよ』
「え!?ウソ、マジ?いいの?」
電気は大きく目を開いて、心底おどいてるって顔をした。
そんなに私に会いたいって思ってくれてるんだって思ったら、この覚悟も間違いないなって思える。
『うん!だって、電気私がいないとダメになるでしょ?』
そう尋ねると、
「うん!オレ、ゆりなが来てくれるだけでチョーハピネスだからさ。
マジ嬉しい」
電気はニカッと眩しい笑顔を向けて、もう一度ぎゅーっと抱きしめてくれた。
(2人でお店を持てば…すぐに借金だって返済できるし…
それまでの我慢だもんね…!
これは電気だけのためじゃない…私たちの夢のためなんだから)
電気に頭を撫でてもらってるあいだ、私は何度も何度も、
「2人の夢のため」って言葉を繰り返した。
まるで呪文みたいに。
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翌日会社が終わってすぐに、電話で予約していた性感マッサージ店に面接に行った。
本番なし、暴力行為なし、プライバシーの保護もきちんとしてあるって説明を受けて安心したし、
何より一回あたりの給料を見て驚いた。
(あの給料なら、きっと、今日借りる分もすぐに返せるよね…)
初めての貸金業者も、すぐにお金を貸してくれた。
これで今日はお祝いにロマネを入れよう。
また夢に一歩近づいたお祝いに。