第16章 【夜シリーズ】イロコイ【上鳴電気】
私はカバンを漁って1束づつ、机の上に置いていく。
電気は、1束づつ、重なっていく事に嬉しそうに体を寄せてきた。
『ルイ3本いれていいよ』
「まじ?やった♡
ゆりなはやっぱいい女だよーアイシテル♡」
愛してるって言われちゃった♡
これが欲しくて、私は一度に300を使う。
200では貰えない言葉だから。
ルイのコールを他のホストたちがしてくれる間、私は電気のことしか見つめていなかった。
コールをされてるときの電気はいつもとびきり嬉しそう。
キラキラしてて…
たまらない。
私はお酒は飲めない。
けれど、机の上に並べられたものの集計は、飾りボトルもあわせたら、軽く新宿にいいマンションが買えるくらいだ。
『溜まってきたね』
「そだねー」
少し酒にやけた声で笑う電気、
その横に黒服が近づき、しゃがむ。
私はこの瞬間が大嫌いだ
「わっり、1回行ってくるね」
『え!やだ、またあの女でしょ!?』
私の脳裏に小太りなフリフリ服の女がよぎる。私と同じく、電気がこの店でデビューしてからずっと通ってるストーカー女。