第15章 【爆豪勝己】学ランと機関銃【中学時代】
『はい、正解です。
じゃあ18番の緑谷くん…朗読頼んでもいいかしら?』
「はい」
頼めば綺麗な発音で朗読してくれる緑谷くん。素直でいい子…。ホッとさっきまでの緊張がほぐれていくようだ。
読み終わった緑谷に、ゆりなはありがとう、と伝える。
『発音がいいわね、今緑谷くんが読んだ通り、母音の前のtheはザ、ではなくズィの発音になります』
授業を進めるゆりなに発音を褒められた緑谷は机に俯きながら口元をふにゃふにゃにした
(ほめられちゃったぁぁぁ)
唯一、無個性の自分がヒーロー科をうけることをバカにしないでいてくれる教師。
恋心ほどではないが、憧れを抱くには充分な材料だった。
そんな緩んだ緑谷を、横目に睨みつける爆豪…
授業後、ゆりなが教室から去るのを確認すると、緑谷の席に近づき、ダン!と机を叩いた。
「おいクソデク、てめぇ、褒められて調子乗ってんじゃねぇぞ」
爆豪の苛立った声に友人が二人、腰巾着よろしく近寄ってくる。
「まあまあ、彼には勉強しか取得ないんだから、いじめてやんなって」
そんな友人のからかいに、俯く緑谷と、舌を打つ爆豪
「デク、次から英語の時朗読すんの辞めろ、断れ」
「そんな…無茶だよ!」
反論する緑谷に、爆豪は肩を掴んで顔を寄せ、覗き込むように笑った。
「じゃぁ、ナードくん、無茶かどうか今から教えてやろうか?」
「ッ………」
固まったまま、声さえ上げられなくなった緑谷に満足したのか、爆豪は捨てるように体を離すと、自分の席でまた机に足を上げた。