第15章 【爆豪勝己】学ランと機関銃【中学時代】
終わりの鐘が鳴り、逃げるように教室を後にすると、「先生!」と呼び止められて振り返った。
『緑谷くん…』
「先生!す、すみません。
ここが分からないんですが…」
『うん、どこ?』
「えっと、この例文の……」
説明し終えると、緑谷くんは納得したのかブツブツと私の説明を復唱した。
彼は時々1人でブツブツいってるけれど、基本真面目だし努力家で…私はとても好印象を持っている。
『緑谷くんはたしか雄英志望よね?ヒーロー科』
「え?あ…はい…でも、無個性の僕なんかが…受けても無意味だって分かってるんですけどね…」
傷つけることを聞いてしまったのか、緑谷くんはどんどん縮こまると手元のノートを握りしめた。
『前例がないだけだから、何が起きるかわからないわよ?
先生は応援してるわ!ヒーローになっても絶対応援するし…あ、ヒーローになる前にサインもらっておこうかしら。』
クスクス笑ってそう言うと、緑谷くん真っ赤になった顔を腕で隠しながら
「そ、そんな、!!」と小さく悲鳴のような声を出しながら照れる。
彼といる時だけが、自分は教師だと思わさせてくれる時間だ。
無個性でもなんでも、もう十分に彼は私のヒーローだ。