第15章 【爆豪勝己】学ランと機関銃【中学時代】
「センセぇー、声が小さくて聞こえませーーん」
その声にビクッと肩が跳ねる。
声の主は、机に足を組み乗せて
ノートをとるはずの手は、ポケットに突っ込まれている。
(大きく話したって、どうせ聞いてないでしょう…)と反論は出来ない。
「おいおいあんまいじめんなよ」
「そうそう、ゆりなちゃん泣いちゃうじゃん?」
生徒からもゆりなちゃん呼ばわりのこの私…口付ゆりな。24歳
中学校の英語教師。
教師歴3年目にして中学三年生を担当することになってから地獄の日々を送っている。
『で…では、他動詞と自動詞の見分け方ですが…動詞が出てきた時点で、『何を?』と問いかけて違和感のないものが他動詞…』
毎日一生懸命どうやって教えようかと考えても、結局誰も聞いていない。
私なんてこの場にいないかのように交わされる雑談の中で、唯一こちらに視線を向けてくれているのは緑谷出久くん。
教師として、どうにかこの場に立っていられるのは彼の存在が大きいと思う。