第14章 【文スト】運命を見つける60秒間【江戸川乱歩】
「な、な、な、なにいってるんですか!?乱歩さん!?!?」
「何!なんで止めるのさ!」
ぷんすか怒りながら、乱歩は敦を押し退けようと腕を伸ばすが、敦に捕まれ、二人は両手を押し合う形となった。
「超推理でわかったの!!!
この人!口付ゆりなさん!ボクの運命の人!邪魔しないでくれる!?」
「いや超推理って!!て言うか…そんな異能力のことをペラペラと!
いいから!メガネ収めて!」
敦は乱歩からメガネを取り上げると、天井高く持ち上げた。
そんな二人のやり取りを見たゆりなは困ったようにくすくす笑うと
「いいんですよ。うちにも異能力のお客様は来られますから」と答える。
「え…!それって…
福沢諭吉ですか!?」
ゆりなは驚いた顔をしたが「それは…お客様の個人情報になりますので…ちょっと」
と苦笑う。
「そうですよね…すみませんさっきから
実は僕達、その福沢って人のプレゼントを探しに来てまして…」
『そうなんですね
こちらの万年筆書き心地もいいですから、きっと喜んでいただけると思いますよ。』
敦と彼女の会話中も乱歩はゆりなにずっとポーっと熱のこもった視線を向けている。
敦は、預けられていたお金で万年筆を買い
乱歩を引きずり店外に出た。