第13章 【キスミーベイビー】ギブミーベイビー【番外編】
「俺が失敗したら、ゆりなはお前のこと見直したんじゃねぇのか?」
純粋に問う二色の瞳から逃れるように、爆豪はまた作業に戻った。
「ゆりななら、クソみてぇなもんでも残さずに食うだろうが
腹壊させたくねぇだけだ」
「そうか」
窓の外では桜の花がほころび始めるこの季節。
もう少しで、彼女に恋をして一年が経つ。
先に進んだり、戻ったり、進んでいると思っていたら立ち止まっていたり。
決して簡単な恋愛ではないけれど、後悔したことは一度もない。
(それよりも、ゆりなに出会えない人生の方が辛い)
二人は思う。
どんな胸の痛みよりも、ゆりなを知らない人生の方が苦しいと
だから…
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「好きだ、ゆりな」
「テメェ、俺より先に渡してんじゃねぇ」
悪りぃ、と言いながらちゃっかり先に手渡す轟はどこかドヤ顔を決めている。
『え、うそ…もしかして手作りなの?!』
二人からホワイトデーのお返しを受け取りながらゆりなは目を丸くした。
「あぁ、爆豪が手伝ってくれた」
「気持ち悪りぃ言い方すんなカス」
ゆりなはベンチに座ったまま、丁寧に二人からもらったものの梱包を解く