第13章 【キスミーベイビー】ギブミーベイビー【番外編】
『わぁ…スゴイ…すごく綺麗、美味しそう!』
ふにゃりと、嬉しそうに笑うゆりなは両頬に手を当てて
むにゅうーと頬肉を押し上げる。
その変な仕草に二人は首をかしげたのだが
『あー…ダメだ…ニヤけちゃう…
二人が、一緒に作ってくれたんだって思うとね、余計にヤバイ…』
八の字に下げた眉と真っ赤に染まったゆりなの顔が、喜びいっぱいに蕩けると、轟と爆豪は胸のあたりを握ってうっ…と顔をしかめた。
なんだか色々辛そうな二人をよそに、ゆりなは真っ赤な顔のまま立ち上がる。
『ね、みんなで食べよ?
3人で食べよ!私紅茶淹れるから』
ゆりなは貰ったケーキとクッキーを紙袋に丁寧に戻して、腕にかけると、二人の手をギュッと握り、引くように歩き始めた。
爆豪と轟は一瞬ムッとした表情で睨み合ったが、すぐに目をそらすとゆりなの方を見て薄く微笑む。
今日くらいは、一時休戦…
だから紅茶と、どうでもいい雑談をくれ
今までのことは全部忘れるから
そして、俺を選んでくれ
いつかでいいから
今じゃなくていいから…。
〜fin〜