第2章 【爆豪勝己】甘い香り【R指定】
帰り道、近くのCDショップに入り
中に入り、アイドルゾーンで足を止める
【口付ゆりな、ベストアルバム】
を手に取ると、カバーにはいかにもアイドルらしい衣装を着たゆりなの姿
その棚には、ブルーレイボックスやシングル、アルバムといくつも商品が並んでいた
爆豪「マジでアイドルだったのかよ…」
店員「あ、お客様そちらの商品レアですよー
もう引退したので、販売中止ですからね…
引退するには惜しいアイドルだった…」
いきなり店員が横から話しかけてきて手に持っていたCDを落としかける
爆豪「チッ…
買っちまった…」
手には黄色のビニール袋
中身はゆりなのCD
(何やってんだ俺…)
アイドルなんざ、今まで一度だって興味があった事ねぇのに
家に着いてベッドに倒れる
ガサッとCD屋の袋が音を立てた
倒れたまま、手を伸ばしCDを取り出す
ビニールから取り出すと、中には歌詞カードと、小さいフォトブック
そしてブルーレイとCDが入っていた
フォトブックをパラパラと捲る
ゆりながいろんな表情で写っている
ライブの写真が目に止まり息を呑む
何万人も入りそうな大きなスタジアムで歌うゆりなの姿
全く知らない人のように見えた
あの食堂で目の前に座ってたやつと同一人物かよ…
開けっ放したCDケースからブルーレイを取り出し、プレイヤーにセットする
さっきの写真に写っていたライブの映像が流れる
『今日は、みんな来てくれてありがとう!!!』
初めて聞くゆりなの声だった
『聞いてください、Sweetlove』
割れんばかりの歓声
歌うゆりなの声は、鈴の音のように美しく
人魚姫が居るとしたらこんな声で歌うに違いないと思わせるような心地のいいものだった
鳥肌がとまらない
食堂で上鳴が言っていたことを思い出す「歌もあんなに上手くて…」
あいつは、この声を失っちまったのか…
それは初めて聞いた俺からしても、とても残念に思えた