第10章 【現パロシリーズ】orange【相澤消太】
(絶対がないなら…飛び込んでみるのもアリなのかもしれない)
今胸に宿るこの想いに正直になってもいいのかもしれない。
静かに頷くゆりなを見て、相澤は心底ホッとしたような顔をして
役所に向かって歩き出した。
この雰囲気なら、てっきり抱きしめられると思っていたゆりなは
『え?どこに行くんですか?!』と相澤に声をかける
「婚姻届、取ってくる
待ってろ」
『え?今わたし離婚届取ってきたんですよ!?
またそういうのは後日とかでいいんじゃ…』
「また来るのめんどくさいだろ
合理的じゃない」
『まぁ…そうですけど』
小走りで役所に入り
息を切らせて婚姻届を取ってきた相澤は、ゆりなを長い両手で抱きしめた。
「わあ!!」
哉太はさすがに驚いたようで、車から降りて2人を凝視する。
「相澤先生、お父さんになるの?」
「あぁ、今お父さんになってもいいって言われたからなれるぞ」
相澤は哉太に手を伸ばすと2人を抱きしめた。
「やったあ!」と喜ぶ哉太の声は相澤の腹にくぐもって響いた。