第10章 【現パロシリーズ】orange【相澤消太】
週末には、相澤は必ず2人に会いに車を走らせる。
まだ籍は入れていない。
ゆりなが、まだ入れたくないと言い張ったのだ。
2人でも充分に生きて行ける事が証明できたら、結婚してくれるらしい。
もう男に頼った生き方はしたくないのだと…
旦那と別れた代わりに結婚するというように見えるのが嫌だと
本当にお互いが愛し合っているとわかるまでは入籍はしてくれないらしい。
このことに関して、ゆりなはとても強情だったが
相澤の欄だけ埋まった婚姻届は、【その日】をゆりなの家の引き出しで待っている。
『お帰りなさい』と出迎えてくれるゆりなに頬が緩んだ。
「哉太は?」と聞くと
『絵を描きながら寝ちゃったよ』とゆりなは微笑む。
リビングを抜け、小さな間接照明だけがついた子供部屋に入ると
床に散らばった画用紙の一枚を手にとった。
『お父さんを描くんだって張り切ってたわよ
この、ヒゲの部分が難しいんだって』
寄り添いながら覗き込んだ画用紙には
3人の顔が同じ大きさで描かれていた。
みんな笑顔で、
背景は、綺麗なオレンジ色に塗られていた。
〜Fin〜