第2章 【爆豪勝己】甘い香り【R指定】
その正体が分かるのは意外とすぐだった
ごった返す食堂の中でひときわ目立つ存在が居た
「うわ、あれ口付ゆりなじゃね?」
「わ、まじかよ…噂は本当だったんだな」
俺のすぐそばにいるモブ共も歓喜した声で噂する
人混みから見える当の本人といえば
女友達と座る席を探しているようだった
その時、キョロキョロとしていたゆりなと目が合う
ゆりなは女友達の手を掴んでこちらをチラチラと見て…
上鳴「おい!口付ゆりながこっち来んぞ!なんで!?」
俺らの席の前に女友達、その後に隠れるようにゆりな
女友達「こんにちは、いきなりごめんね
この間、この子の事助けてくれたんだって?」
爆豪「別に…助けたわけじゃねぇ」
女友達「私は心読あかね、この子は口付ゆりな」
上鳴「もち、知ってるって!ゆりなちゃんのCD全部持ってるぜ
俺は上鳴電気、この無愛想は爆豪勝己!よろしく」
切島「切島鋭児郎だ、よろしくな」
心読「ゆりながこの間はお礼が言えなくてごめんなさい、だってさ」
爆豪「……」
ゆりなは心読の手を握ったままこちらに笑いかける
心読「じゃあ、それが言いたかっただけみたいだからまたね」
上鳴「え!もう行っちゃうの?
よかったら一緒にここで飯食おうぜ」
心読「うちはいいけど…ゆりなどうする?」
心読がゆりなに問いかけると、ゆりなはまた無言のまま心読の手を握る
心読「迷惑じゃなければ、ご一緒させてくださいだってさ」
上鳴「あ…うん
全然迷惑じゃないってか…嬉しいけど…」
アホな上鳴でも違和感に気づいたようで
心読「ん?飲み物わすれた?
買ってこようか?
いや、ゆりなひとりで行くのはあぶないって…」
切島「なぁ、心読さん
なんで何も言ってないのに口付さんが何言ってるか分かるんだ?」
心読「あぁ、私の個性だよ
触れてる人の心がわかるの」
上鳴「そうなのか…で、なんでゆりなちゃんは何も言わないんだ?」
ゆりな『……』
その問いかけにゆりなが少し困ったような顔をして
心読の方を見る
心読「ゆりなは、声が出せなくなったから」