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【雑多作品置き場】short story

第8章 【現パロシリーズ】にじり口【轟焦凍】




相手が轟先生じゃ
誰も私の言い分なんて信じてくれないだろう。
というのが表向きの言い訳。

もちろん誰かに相談しようなんて思っていない。
ただ、私の心の中の、表向きだ。
本当の理由は

考えたくない。


考えたくないから、表向きの言い訳があるってなもんだ。




こんな考えを何度繰り返しただろう。

思えばあの日から、もう2ヶ月の月日が経った。
明日は土曜日、茶道のレッスンがあるはずの日



「そういえば、最近習い事行ってないよね
なんだっけ、お花?」


『…お茶ね
うん、ちょっと体調悪くて…』


私の適当な嘘にも「そっか」とだけ返してパンを口に放り込む。
これをコーヒーで胃に流し入れて
まるで何も変わらないと疑っていないかのように「いってきます」と笑う。




最近そんな旦那に苛立ちを覚えるようになった。

私があんな目にあっても、なんで気付いてくれないの?
私のため息が増えたこと、気にならないの?
ねぇ、私、若いイケメンの男に好きだって言われたよ…


心配してよ

気付いてよ


気付かないで



気付かないで



何かを突発的に壊したい欲望に駆られる。
叫んでしまいたい。
何もかも壊してしまいたい。

そして、自分も壊れてしまいたい。





そう思って頭を抱えていると、スマホが小さく鳴る
手を伸ばして見れば、高校時代の友達が明日ランチ行かない?との連絡だ。


旦那に確認の連絡を入れると
「最近外に出てないし、気晴らしにいいんじゃない?」だって。
なんで、外出してないか気付いてても聞いてこないのは
優しさなのか、私に興味が無いのか。


ソファーに投げ置いたスマホがまた小さく音を立てた。


「OK♡じゃあ明日!駅前のsupu-maカフェでね」
連投で送られてきたスタンプから視線を逸らす。

はしゃぐ気にはなれないけれど、
このまま家にこもっていても、心身ともに不健康だ…



私は明日来ていく服を選びに、クローゼットにむかった。
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