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【雑多作品置き場】short story

第8章 【現パロシリーズ】にじり口【轟焦凍】







乱れた着物は乱暴に体に巻き付けたまま、ゆっくりと止まった車は
真っ暗な家の前で止まった。
電気がついていないことに、安心する。

こんな姿、旦那に見られたら即離婚だろう。
いつの間にかやんだ雨


シートベルトを外す手が震える。




その手に重ねるように、大きな手が覆いかぶさってきた。

『っーーー!』

人の家の前で、この人は…
精一杯の抵抗の意を込めて睨みつけるけれど
その先の男は全く悪びれもせず、
乱れた着物の襟元から覗く、白い首を傾けて
まるで、どうしたんだ?とでも言いたそうにこちらを見つめた。


私は、その嘘らしいほどに綺麗な顔を
とても怖く感じて
逃げるように車から降り、震える手で玄関のドアを開け、
素早く入った後、鍵をかけた。



家の中に入って初めて
ヘナヘナと腰が抜け、そこから1歩も動けない
5分ほどたった頃に
外で車の音がして、轟先生が帰っていったのだとわかる


そこでやっと、壁をつたいながら部屋に戻り、
着物を脱いで
シャワーを浴びた





シャワーに混じって
精液がももを伝う。



『ふ…っ…く…』

どうして、こんなことになったのか
何が自分の身に起きたのか
自分はなんで泣いているのかさえ
わからない。



ーー「嫌じゃねぇだろ…本当は」


『嫌だ…』



ーー「なぁ、ゆりなも、俺のことが好きなんじゃねぇのか?」

『ちがう…そんなはずない!

そんなはず…』



「ゆりな?」


『うるさい!!!!』


突然脳内で響いていたはずの声が耳を震わせて、振り向く



「どうした?大丈夫か…?
さっきから呼んでるのに…」


『…ぁ、祐樹…いつ帰って…』

そこに居たのは旦那の祐樹で、驚いた顔でこちらを見つめている。


「いまいまだけど、何かあったのか?」


『いや…ごめんね、
ちょっと、嫌な夢見ちゃって…』

「そうか、ゆりながあんなでかい声出すの初めてだから
ビビった」


ははは、と笑って何もなかったかのように脱衣所から出て行く。



もっと、ちゃんと聞いてくれたら
「本当は何かあったんだろ?」って
「俺を頼れ」って…言ってくれたら


そしたら私は話しただろうか。





いや…きっと、話せない

私は完全な被害者じゃないから

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