第10章 一以貫之【イツイカンシ】
翌朝、俺は両手首を背後で拘束された姿で城門へ連れ出された。
其処には既に秀吉は勿論、政宗、家康、三成も揃って居る。
そして安土城下の民共も駆け付けて居り、それは想像以上の人集りとなっていた。
良いぞ……織田信長を襲撃した謀反人、明智光秀の処刑は依り多くの民に語り継いで貰わねばならぬのだからな。
そう北叟笑んだ俺がふと脇に並んだ四人を見遣ると………
ああ、全く……此奴らには困ったものだ。
主君を襲撃した憎き罪人をこれから処刑しようというのに悲痛な顔をしてどうする?
三成などもう泣き出して仕舞いそうじゃないか。
本当に……全く……
そんなお前達と共に戦う事が出来た俺は、どれ程に幸福者だったのかと思い知らされて仕舞うな。
そして、信長様………
貴方は今何処に居られるのか?
もし、俺がこれから向かう先に居られるのだとしたら………
『出来したぞ』と、『傍を離れるのは許さぬ』と……
再び俺の身体に触れて下さるだろうか?
そうであるのだとしたら、己の首を落とされる時が待ち遠しくて仕方が無い。