第6章 望蜀之嘆【ボウショクーノータン】
眉を顰めてぎゅっと目を瞑り、唇を噛み締める。
俺に犯されている屈辱に耐えているのか、直感的にそう思ったが……
時々抑え切れずに漏れ出す甘い吐息。
頬だけで無く首筋までも紅く染め、何より俺を受け入れている部分はどんどんと滑りを増して行き、縋る様に信長様の夜着を握り締める小さな手は小刻みに震えていた。
間違いない……は……
『信長様以外の男に抱かれて悦がって仕舞う』事を耐えているのだ。
その一途さに、健気さに、可憐しさに、とことん愛らし過ぎる様に……
己でも理解出来ない何かが俺の中で弾け飛ぶ。
「許せ……許してくれ。
頼むから今宵だけは
俺の指で……
俺の舌で……
俺の全てで……
果てて見せてくれ。」
そして一層深くを穿ち
「っっ……」
その愛おしい名を叫んだ。
すると突然には驚いた様な表情を見せ、きょとんとした視線で俺を見上げる。
一体どうしたのだと俺が狼狽えた時、の頬にぽつりと水滴が落ちた。
そしてその水滴は一粒二粒と増えての頬を隙間無く濡らす。