第3章 暗箭傷人【アンセンショウジン】
思えば……此れ程までにを欲する様になったのはいつ頃からか?
善く善く考えてみれば俺は女になど興味は無かった。
勿論ここまで生きて来て、抱いた女の数は数え切れない。
だがそれは全て己の性欲を満たす為だけの行為であった。
然もあんなの様な小娘を……。
俺の好む女は豊満な身体と無口で聞き分けの良い従順さ、それに男を昇天へ導く技能が備わっていれば尚良し。
などまるで真逆じゃないか。
それなのに胸を焦がす程、その姿を想うだけで息苦しくなる程……
が愛おしい。
最初に信長様が拾って来たを目にした時には、余りの惨状に同情もした。
身体の傷が癒え、だが心は幼女のまま過ごす姿は可憐しいとも思った。
信長様からが『三ツ者』だったと聞かされた時には驚き、俄然興味が湧いた。
俺が飼っている間諜の中にも女は居る。
中々に俺好みの美しくて強い女だ。
その女がと同じ扱いを受けたとしたら…と考えれば臓腑が煮え立つ感覚も覚えた。
そしてが信長様に愛される様になり、時折『女』の顔を見せ始めてからは………
気が付けばもう、俺はから目が離せなくなっていた。
理屈ではないのだろう。
己が戸惑う感情に、一々理由を付けたがるのは大人の悪い癖だ。
そうした所でもう既に抑え込める感情では無いのだから。