第18章 上鳴電気の願望
午前中の座学を終えて
更衣室で着替えていると、轟がバトルスーツを新調していることが話題に上がった
「へー結構変えたな」
切島が興味深そうに、どこに相談に行ったら変えてもらえるだとか聞いていた
「な、上鳴も今度行こうぜ?サポート科!」
「おぅ」
確かに俺たち二人のバトルスーツってちょーっと地味というか…なんというか
変えたいなとは前から思っていた
「やっぱコスチュームは大事だよなー
気分上がる
雄英の制服も初めて着た時すげぇテンション上がったもん
俺、中学は学ランで……」
そこまで言ったところで、上鳴は切島の肩をつかむ
突然掴まれた肩に、切島はぎょっとした顔をするが、それよりも俯いている上鳴の体が若干震えていることの方が心配で
手を伸ばす
「お、おい……上鳴大丈夫か?」
「なぁ……切島……」
問いかけに帰ってきた返事は、とてもとても低い声で
こんな真面目な上鳴の声を聞いたことがなく、次になんと言葉が続くのか
唾を飲み込んで待った
「お前……天才か?」
「は?」
ばっ!と顔を上げた上鳴の表情は電灯でも灯ったかのようにきらっきらしている
「いや、いや、いや…何のことだよ!!」
さっきまでのシリアスを返せ!と心の中で叫びながら
両肩を掴まれている状況をどうにか飲み込もうと両手で上鳴に「おちつけ!」のジェスチャーを送るが
「俺は…忘れていた……
俺にはしなくちゃいけねぇ事があるんだった!!!
うおおおおお!実技授業がんばるぞおおおおおお」
一人で勝手にそう言い切って、大声で気合を入れたかと思えば
猛ダッシュで演習室に消えていった
「……なんだったんだ?」
何が上鳴をやる気にさせたのかは分からない
切島はゆっくりと首を傾げ
(まぁ…あいつ良い奴だけど、ちょっとアホだからな)
とため息をついた