第17章 君と私の何日間かに
「それがわかったら…楽だろうな」
その声に、俺は心臓を直接掴まれたような感覚に襲われる
相澤先生でも、イレイザーヘッドでもない
その声は相澤消太…生身の男の声だったから
「まぁ、そんなことはいい」と言葉を続けたら、もう教師としての声色に戻っていて
「咲良にかかっている個性は、もって1週間、早いとあと二日で解けるらしいから
それまでは、気をつけてみてやってくれ」
「はい…」
それだけ言って、相澤先生は廊下を歩いて離れていった
改めて、恋敵になったかもしれない相手を、意識して見てみれば
枯れた色気?っーの…、女の子はあぁいうの好きだよな、落ち着いてる大人の男
咲良の元婚約者は、相澤先生みてぇにできた人じゃなさそうだったけれど
それでも、咲良よりは年上だった
もう乗り越えたはずの不安の箱が、また蓋を開けようとしてくる
その蓋があかないように、鍵をしたくて、何度も何度も咲良と体を重ねる
無駄な足掻きなのだろうか
こういうところが子どもっぽいんだろうな…
自傷気味にわらうと、教室に踵を返した