第17章 君と私の何日間かに
体を重ねて少しのあいだ私を抱きしめたあと
「やっべ、遅刻する!」と言って
足早に準備を済ませた電気くんは
軽くキスだけして玄関を飛び出していった
私は重い体をまたベッドに沈めて目を瞑る
この個性は何日持つんだろう
私はあと何時間電気くんと一緒に居れる?
体が戻ったら、
電気くんのこと忘れちゃうのかな…
――忘れたくないよ
もっと電気くんのことを知りたいし
恋人ができたらしたかった事もある
学校帰りのデートとか、自転車二人乗りとか
プリ撮ったり、お揃いのストラップつけたり
どれか一つだけでいいから、電気くんと出来たらいいのにな…
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
〜上鳴side〜
学校に行く着いたのはギリギリで
教室に滑り込み席につくと、ほぼ同時に相澤先生が入ってきた
「はい、ホームルーム始めるぞ」
淡々と話す先生を昨日とは違う目で見てしまう
咲良の元カレ…か…
先生と一瞬目があった気がしたけど、すぐに逸らされた
先生が、もしかしたら咲良を好きなのかもという
まことしやかな噂もいよいよ現実味を帯びていたけれど
教え子と同棲してる女を口説いたりしねぇだろうしな
ハプニングではあったけれど、知られてよかったのかもしんねぇ
相澤先生に口説かれたら厄介だっただろうしな
ぼーっと黒板を眺めていると
「上鳴、ちょっとこい」と先生に指で呼ばれ
「あ、は…はい」
あとを付いていくと、階段下で小声で聞かれる
「咲良の様子はどうだ」
「特に混乱もしてないっす
割と元気ですよ」
「そうか、ならいいが」
本当に安心したといったように、先生は深いため息を吐く
「あの……」と俺が口をひらくと
「どうした?」と返される
聞きたいことは山ほどあったけれど…一番は
「あの…なんで先生と咲良は別れたんすか…」
相澤先生は、いつものやる気のなさそうな半目を大きく開いてこちらを見てくる
やっぱり聞いたらヤバかっただろうか?
とは言えもう今更前言撤回はできない