第16章 御都合主義の個性さん2
相澤先生が帰って、2人きりになった部屋に
気まずさと緊張がはしる
てかヤバい…タメの咲良可愛すぎる…
なんつーの?いや、言葉で表現出来ねぇ…
とりあえず可愛い、あどけない、しんどい
欠落していく語彙力を呪いながら
咲良に紅茶をいれてわたす
『ありがとう、えっと…上鳴くん?』
上目がちに呼んでくる咲良
その声で上鳴君って呼ばれるのはなんか違和感だな…
「あ、俺のことは電気でいいよ、いつも咲良はそう呼んでっから」
『そか、じゃあ電気くん!』
ニコッと笑って呼んでくれる
ヤバい、ヤバい、笑顔の破壊力すげぇ
いや、いつもの咲良(27)も大好きだよ?
年上のお姉さん、色っぽくて堪んねぇよ?
でもさ、この咲良(15)歳は期間限定なわけじゃん?
愛でるしかなくね?
俺が出会えなかった時代の咲良に会えるとか
なんかの御褒美?!
自然に顔が綻んでしまう
それより、なんか話を振らなければ、
でも何話したらいいか分かんねぇな…
『ね、私たちの出会いききたいな』
悩む俺をよそに、咲良が話題を振ってくれる
「あー、俺がナンパして、咲良にホテルに連れ込まれたのが出会いかな」
ハハハーと笑って答えると
『え、いきなりホテル?
てか私が連れ込んだの…』
明らかにドン引く咲良
「あ!いや!同意のもと…にね?
あの日、咲良婚約者の浮気現場見て荒れてたし
しかたなかったっつーか」
『え!私、婚約者いたのに
浮気されたって…じゃあ婚約破棄?!』
ますます元気をなくしてしまう咲良
ダメだ、出会いの話、すればするほど傷つける…
だってこの後、咲良は仕事辞めるし
婚約者を失って、住む家もなくなって、男子高校生とホテルで借りぐらし、その上仕事も失った未来なんて知りたくないだろう