第16章 御都合主義の個性さん2
「っーー」と顔を顰めて
咲良がゆっくりと目を覚ました
「起きたか?」
『……ん…だれ…?ここは…?』
俺の顔を見て、首を傾げる咲良
「ここはお前の部屋だ
俺は相澤消太、わかるか?」
『相澤…先輩?』
咲良は困惑した様子でそう呟く
『たしかに、先輩に似てるけど…先輩はそんなに歳とってない…』
「説明するのが面倒だが、お前は言わばタイムスリップした状態ってことだ、
お前がいるのは12年後の世界だ」
『は?なにそれ…え?どういうこと?』
「個性事故でこんなことになった、三日もすれば戻るらしいが…」
『え、じゃあさ、相澤先輩…と私って12年後一緒にいるってことですか?』
どうやら、タイムスリップしたことより、
俺と一緒にいることの方が驚いたらしい咲良
「職場の同僚だ」
『あ、なんだ…
より戻して相澤先輩と結婚したのかと思いました』
びっくりしたーと言って笑う咲良
『別れてから、全然連絡とってないですもんね』
「そうだな」
「あの、ちょっといいですか?」
俺達が話していると、上鳴が入ってくる
咲良はこの人誰?といいたげな顔で上鳴を見つめている
「より戻したとか、別れたとか…
え…相澤先生と咲良は昔付き合ってたん…すか?」
『うん、中1の時ね
半年とかだけど』
あっけらかんと答える咲良
上鳴は相当ショックを受けているのか、フリーズしている
『で…彼はだれですか?』
ヒソヒソと俺に訪ねてくる咲良
「あぁ、上鳴電気だ
12年後のお前の恋人だ」
『え?!うそ、この人私とタメくらいじゃないですか?!』
咲良は驚いて布団から勢いよく起き上がる
「そうだな、上鳴は15歳、俺の教え子だ」
『え、12年後ってことは私27でしょ?
なのに15の男子と付き合ってるの?』
「そうらしい」
『うわまじか…』と咲良は言って深刻な顔をした