第16章 御都合主義の個性さん2
授業とホームルームを終えて、保健室に向かう
咲良はもう目覚めているだろうか…
ドアを開けると、リカバリーガールが首を振りながら近づいてきた
「起きてないよ、まだぐっすりさ
でも学校に泊めてもあげれないしね…
運良くかなり近くに住んでるよ、送ってやんな
これこの子の荷物ね」
カバンの中に鍵も入っている
送り届ければ家族もいるはずだから説明して預ければいい
咲良のカバンを持ち、咲良を車の助手席に乗せる
咲良の家は高校から目と鼻の先で車で5分もかからなかった
下に車を停め、咲良を背負ってエレベーターを上がる
もらったメモの部屋番号にたどり着くとチャイムを押した
バタバタと足音がして
ドアが開く
「おかえり、今日は早やかった……な……」
予想的中
咲良の部屋の玄関を開けたのは
金髪に黒のメッシュが特徴的な、うちのクラスの上鳴電気だった
「やっぱりお前か、上鳴」
「あ、相澤先生…なんでここに…ってかそれ…」
一気に顔面蒼白になった上鳴だったが、俺が背負っている女が気になったのだろう視線はそちらに向けられている
「あぁ、ベッドあるか?」
部屋に通されて、ベッドに咲良を寝かせる
上鳴は横たわる咲良に驚きを隠せないようだった
俺はと言えば、この上鳴色の強い咲良の部屋を見て
もう何も言えなかった
どっからどう見ても、同棲している男女の部屋だったから
「あの、この人って…」
「あぁ、咲良だ、個性事故で12年若返ってる
見た目だけじゃない記憶も12年前に戻ってる」
「マジっすか」
「俺は咲良と中学が同じだ
一応起きるまでここに居て、説明してやろうと思っている
咲良からしたら、いきなり12年後に来てるのと同じ状況だからな…お前しか居なかったら驚くだろ」
「そうっすね…てか咲良と先生が中学の時から知り合いだったの初耳です…」
上鳴は動揺しながらも、落ち着いているようだった