第14章 君は誰のもの
『……いまの…なに…』
1人取り残された多目的室で
私の声だけがやけに大きく響いたように感じた
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大胆なことをしてしまった
恋人のいる女に、キスマークを付けるなんて
廊下を歩く速さがいつもより倍早い
顔にうっすらと感じる熱
あんなの、告白と同じじゃないか…
担任クラスの前について、一呼吸置く
教室に入ると「起立、例」の合図に合わせて、
ホームルームを始めた
伝達事項を伝えている間も、
頭の中ではさっきの咲良の
キョトンとした表情を思い出すばかりで
左手薬指に指輪をしてないからって完全に油断した…
考えても見れば、咲良に恋人がいないはずが無い
原因は何であれ、妬いてあれだけ沢山のキスマークを残すような男だ…
咲良の恋人は少々子供っぽいところがある奴らしい
そんな奴が俺のキスマークを見つけたら…
また今日も咲良は乱暴に抱かれるのだろうか
そう思うとまた胸が焼かれるように傷んだ
手に入らないなら、諦めればいい
それが一番合理的だ
それなのに何故、俺は
どうして、まだ頭の中で咲良を手に入れる算段を立てて居るのだろう