第14章 君は誰のもの
「咲良ちゃんも
なかなかHARDなBOYFRIENDがいるんだなぁ
相澤がショック受けるのも無理ねーぜ」
プレゼントマイク先生がクククと肩を鳴らして笑ってくるけれど
私はそれどころではなくて
先生方にこんな痴態をさらしてしまって
これからどんな顔で仕事したらいいの!?
頭を抱えていると
「咲良」と呼ばれ、振り返る
『相澤…先輩…』
「ちょっといいか」
私は静かに頷いた
相澤先輩に連れてこられたのは
誰もいない多目的室
こんなモノを付けて、校内をうろついていたんだ…
そりゃ怒られるよね
「その首の…」
いきなり確信を突く言葉を言われ、体が跳ねる
「虫刺され…じゃないな」
『すみません…教育機関に居る身で…
こんなものを晒して歩いてしまい…』
すぐに頭を下げる
これで許されるとも思っていないけれど
「そんな事は気にしなくていい
18禁ヒーローのミッドナイトが居るくらいだ
この学校はそんな事を気にしたりしない」
『…たしかに
言われてみればそうですが…』
じゃあなんで先輩は私を呼んだのだろう
他に思いあたりがなくて困ってしまう
「俺は…合理的じゃない事が嫌いだ
それはお前も知って居るだろう」
『もちろんです』
中学の頃から、先輩は合理主義の塊だった
栄養補給は時間短縮のためにいつもウィダーインゼリーだったし
デートをした時は、悩む時間が合理的じゃないという理由で
完璧にプランを立てて来てくれていた
でもそれと、私を呼んだのとなにが関係あるのだろう
「俺は駆け引きや悩んだりをしたくない
だからハッキリ聞くが
その首の跡は恋人に付けられたって事でいいのか」
あぁ、ただ単にこれが誰に付けられたか
気になるから教えろってことか
と納得する
『えっと…はい
恋人につけられました』
「そうか…」
、
心なしか少し悲しげに見える
気のせいだと思うけど
『昨日ちょっと怒らせて?しまったというか
妬かれたというか』
原因は貴方なんだけどね…と心の中で思う
「気持ちは分からなくもない」
『え………』
相澤先輩が私の肩に手を置いて
首筋に唇を落とす
ピリッとした痛みが走って
そのまま横をすりぬけて、部屋から出て行った