第11章 恋敵と書いてライバルと読む
学校が終わって帰ると家の中はまだ真っ暗だった
(やっぱオレより帰ってくるのおせぇよな)
途中でスーパーに寄って材料買ってきてよかった
キッチンに荷物を下ろして、部屋着に着替える
今日はカレーを作るつもりだ
難しいもんは作れないけど、男飯でも咲良は喜んでくれる
最初の頃よりはサマになってきた包丁使いでニンジンを切る
料理をしていると、自然にランチラッシュのことを思い出してしまう
(ランチラッシュは要注意だな…料理できる男はモテるっつーし
なんかイレイザーヘッドも咲良を特別視してるってあの女の人言ってたっけな…
でもイレイザーヘッドに限って恋愛とかはねーな
友情とか恋愛とか、そういうの毛嫌いしてっし)
相澤の顔を思い出して、ないな、と再確認する
煮込んでいると、咲良が帰ってきた
「おかえり!おつかれ!」
『うわぁ…なんかいい匂いがするよー』
咲良がぎゅうーと抱きついてくる
「カレー、作っといた」
『電気くん神ー♡だいすきー』
「オレもだいすきだー」と抱きしめ返す
オレを不安にさせるのも安心させるのも咲良なんだなって思う
さっきまでの不安な気持ちも今は無くなってしまっているのだから不思議だ
「今日、仕事どうだった?」
カレーを口に運びながら尋ねる
『うーん、やっぱり凄かった…雄英
今日発注したのなんて、防弾ガラス2000枚と、ビル修理が12棟
それに伴うコンクリとか、鉄筋、すごいよね』
「模擬演習場のビルも備品なんだな」
『うん、てか食堂で驚いたよ…
こっち見すぎだから、電気くん
バレたらどうするの?』
「だって、あれは話の内容が内容だったしさ
結果バレなかったし、セーフセーフ」
セーフと、手でやって見せると咲良は苦笑いをして言葉を続けた
『もー…やっぱ私も学食で買って、事務所で食べようかなー
でも備品管理室って遠いんだよね…
まあまあご飯冷めちゃう距離』
「えー今度から気を付けるから学食で食お?
唯一咲良を見れるチャンスなんだし」
うーん、と悩む咲良、悩んでる顔もかわいいよね
「そいえば今日さ、イレイザーヘッドに花渡した?」
『あ、渡した
なんでわかったの?』
咲良は驚いたようにオレに目を向ける