第10章 君の知らない○○
〜上鳴side〜
学食から教室に戻る
やっぱ咲良モテんだな…本人は自覚ねぇみてぇだけど
ランチラッシュに告られたらどうすんだろ…
『好きな人が居るから…』
そう言ってくれていたのは嬉しかった
けど、不安にもなる
机に「はぁーーー…」とうつ伏せていると、麗日が話しかけてくる
「ねぇねぇ、上鳴くん」
「ん?」
「さっき相澤先生が持ってきたお花ってなんて花なん?
ほら、上鳴くん植物図鑑持ち歩いてたやん、お花詳しいんやろ?」
教室の端の棚に目を向けると、確かに見慣れない花が花瓶に飾られていた
今まで教室に花なんて飾られたことは無かったし、
その上相澤先生×花なんてミスマッチすぎる
俺は図鑑をめくり、その花のページを見つける
「ニコチアナだな、たぶん」
「へー、聞いたことない」
「花言葉は………」
花言葉を見て気づいた、これは咲良が出した花だ
個性見せろって言われたんだろうな
「?」
突然黙ったオレを麗日がどうしたのかと見てくる
「あ、あぁ花言葉な、
ニコチアナの花言葉は
【秘密の恋】だってさ」
「へぇー、なんか切ない花やね」
ありがとーと言って、花を見ている女子のところに戻っていく麗日
秘密の恋…か…
もちろんオレと咲良の関係のことだろうな
ニコチアナの欄に線を引く
早く帰って、咲良に会いたい欲が強まった
学校出会えるのも嬉しいけれど、やっぱり二人きりで咲良を独り占めしたい