第10章 君の知らない○○
「ランチラッシュ、咲良ちゃんのこと気に入ったみたいだねぇー♡ロマンスの予感だよー」
『いや、今朝新人って紹介してもらったんで
それで気にかけてくださったんですよ』
ないない、と手を振ってみせる
「えー、どうかなー?私はなんかあると思うけど」
安永さんはパスタを巻きながら言う
明日はパスタもいいなぁ…なんて考えていると
安永さんの後ろに電気くんが見えてむせてしまう
『!!』
切島くん…だったかな
とあの小さい男の子は峰田くん
3人で席を探しているようだ
学校にいる電気くんを見られるなんて…
なんかこうして一方的に見てると、片思いしてるみたいで楽しい
見つめていると、切島くんが気付いたみたいで、こっちに来る
やばい
「でもさ、ここで職員のヒーローとお近づきになって玉の輿ってのもいいよね!
私は幼馴染と結婚するんだけど…」
安永さんの話があまり入ってこない
「おい、上鳴、峰田ここ空いてたぞ」
わたしの椅子を一個挟んで隣の席に促す切島くん
安永さんにバレないように、自然に振る舞わなきゃ…
『幼馴染いいじゃないですかー』
と安永さんにあいづちをうつ
「まぁ、気は楽だよー
でももしさ、ランチラッシュが口説いてきたらどうする?」
わーお、確実電気くんに聞かれる音量で
安永さんが聞いてくる、視界の端の電気くんがガン見してきてるのが分かる
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい
『えー…あ、ありえない事を考えても…仕方ないっていうか
なんていうか…』
すっごくまどろっこしい言い方になる
「いや、私はあると思う
だってわざわざ話しかけてきて
レシピ教えますよーなんて、2人きりになる口実じゃん」
『ランチラッシュさん親切なんですよ…
それにそういう下心なさそうな爽やかさんじゃないですか』
「爽やかーにナンパするタイプだって
あ、でも咲良ちゃんのために
あのイレイザーヘッドがわざわざ時間割いたのも気になってたんだよねー」
『それは、相澤先輩が昔の知り合いだからですよ…』
「でも、あの人合理性の塊だからさ
生徒第一だし、授業時間つかってまで案内してくれるとか
なんか特別な感情ありそう〜♡
ね、ランチラッシュとイレイザーヘッドどっちがいい?」