第9章 再会は突然に
根津はおもむろに紙を差し出してきた
「これが給与体系
そして、今君が悩んでいる問題はこちらからしたら全く問題ではないさっHAHAHA!」
やっぱり見通されてたか、と肩を落とす
相澤先輩の前で言われなかっただけマシだ…
27にもなった後輩が定職にも就かず15の高校生と付き合ってるなんて…引かれるに決まってる案件だ
渡された紙を見て驚く
これ、お給料10万は上乗せされてないか?!
「備品管理はうちの学校でも大変な仕事だからね
模擬演習場の建物や、ロボットヴィランも備品の一部だ
その給与に見合う仕事を頼むよ」
『…わかりました
よろしくお願いします』
そう頭を下げると、根津校長は満足そうに紅茶を飲んだ
相澤先輩も笑ってくれる
校長にはバレてしまっているし、問題ないって言ってくれるなら問題ないのだろう
あとは、電気くんになんて説明するか…それが問題だった
相澤先輩について廊下を歩く
出勤は明日からなので、今日はもう帰ることになった
『先輩、紹介してくださってありがとうございました』
「お前が適任だと思ったから紹介しただけだ」
『ありがとうございます…///
でも、先輩がまさか先生になってたなんて驚きですよ』
「まぁな…俺も向いてるとは思ってねぇ」
『いえ!それはないです
先輩は絶対いい先生ですよ…
だって昔から人のこと良く見てて的確なアドバイス下さるし…』
当然先輩が立ち止まる、私も歩みを止めると
先輩が振り返って向かい合わせになる
誰もいない廊下で、やけに心臓が早まる
大人になった相澤先輩…なんか渋くてかっこいいな
「昔のこと…覚えるか」
『昔のこと、ですか?』
「あぁ、俺達が付き合っていた時のことだ」
そう言われて顔が赤くなる
先輩も、あの期間を付き合ってるって思ってたんだ…
なんだか、関係が曖昧すぎて、付き合ってなかったのかなって思っていたんだけれど
改めて言われると顔に熱が集まってしまう
『覚えて…ます…』
初めてできた彼氏のことだ、忘れるわけもない
「……そうか」
それだけ言って相澤先輩はまた歩き出す
何を聞きたかったのか、その質問になんの意味があったのか
私にはわからなくて、黙ってついて行った