第9章 再会は突然に
相澤先輩と別れて家に帰る
変わってなかったなー見た目は少しかわってたけど、昔は髭生えてなかったし
ジャガイモを洗いながら昔のことを思い出す
細くて節の大きい指や、少しかさついた唇、そして私を見る目
交際期間は半年程度だったし肉体関係もないけれど、一応人生初の彼氏だった
まぁ、お互い子供だったから付き合ってたかどうかも微妙だよね
卒業の前に私から別れを切り出した
なんで別れようと思ったのか、それさえも忘れてしまうほど古い記憶
でも、仕事紹介してくれて助かったー
明日、内定もらえたら電気くんに言わなくちゃ
ジャガイモをつぶし、ミンチと混ぜて衣をつけ揚げていく
玄関でガチャリと音がして電気くんが帰ってきた
『おかえりー』
「ただーいま♡」抱きつこうとするから手で制する
『揚げ物中はダメ』
ええーって言いながらも言うことを聞いてくれるのが電気くんのいいところ
『今日ね、昔の先輩にスーパーで会ってさー
仕事紹介してもらえることになったの』
「へぇー!良かったじゃん!」
『ほんと、助かる』
「今日面接あったやつは?」
『あれは、合格出ても行かないかなー
人が良くなかったから…』
「そっか、嫌なヤツおおいとこはなるべく避けてぇよな」
電気くんの学校の話を聞きながらご飯を食べる
毎日毎日すごい訓練ばかりしてるなぁ…
担任の「イレイザーヘッド」って人はなかなかスパルタで
電気くんはいつもハラハラさせられているらしい
「今日もいきなり小テストだったし、マジで加減ねぇの」
『大変だねぇ』
教室で授業を受ける電気君を想像すると微笑ましくなった
『私も電気くんと同い年だったらな…
制服デートとかして見たかった』
何気なく言うと
「え……?制服デートしてくれんの?」
『同い年だったらねー、私だってJK時代ありましたよ』
「セーラー服がいい」
『あ、まさかのセーラー服だったよ』
電気くんが目を輝かせてくる
「見てぇ!」
『写真…卒アルが実家にあったかな』
「いや、卒アルも見てぇけど、セーラー服の咲良がみてぇ」
『?』
「セーラー服買ってくるから着て?♡」
『断る』
きっぱり拒否してみせる
それはマジで無理なお願いだ