第9章 再会は突然に
ハローワークで見つけた事務職の面接帰りに
最寄りのスーパーによる
正直、こちらから願い下げたくなるような職場
お局めんどくさそうなの居たし
何より人事の男がセクハラまがいなことをたくさん聞いてくる
「27さいかぁ…子供とか結婚とか急いでる?」
男の言葉を思い出してイラッとする
こういう日は肉!と思って肉売り場に向かう
あんまり早歩きだったのか、通路から出てきた男性にぶつかりそうになった
『っ!す、すみません』
とっさに謝ると
「咲良?」
名前を呼ばれ、顔を上げる
『相澤先輩…』
そこに居たのは、中学の先輩だった相澤消太先輩だった
くたびれては居るけれど
中学の時もこんな感じだった気がする
『お久しぶりです!よく気づかれましたね』
あれから15年は過ぎていて、卒業後は連絡とってなかったし…というかとれなかったというか
「まぁ、お前あんま変わってねぇし…」
『それはさすがに変わってますけど…』
相変わらずひょうひょうと冗談吐くよなこの人、なんて思いながら久しぶりの再会に嬉しくなる
「今なにしてんの?」
『あー…いま何もしてなくて
最近会社辞めて転職中なんです』
「お前ならすぐ仕事見つかるだろ、努力家の真面目だし」
そう言われると嬉しくなる、相澤先輩はお世辞とか言わないタイプだから
『ありがとうございます』
「仕事は何したいんだ」
『それがイマイチ…やりたいことも無くて…』
「ならウチで働けよ
備品管理が手薄で、求人出してるぞ」
備品管理か…やったことは無いけれど
相澤先輩が勧めてくれるって事は私に向いているってことなんだろう
昔から、人をよく見ていて、的確なアドバイスをくれる人だ
『やってみようかな…』
そう呟くと、相澤先輩はすこし笑って
「なら、上に俺から話通してやるよ
明日、面接こい」
『え、早くないですか』
「電話して、面接予約してって手間は合理性にかける
時間決まったら連絡するから連絡先教えろ」